ケース5 (DV)

左 謝罪文を書くストーカー(31歳)。ボールペンを握る手が震えていた。

携帯電話の「出会い系サイト」に網を張り、引っかかってきた依頼主をトレンド追随型の服装と今風の髪型、ソコソコのルックスでたらしこみ、巧みな話術で骨抜きにするという新種のヒモ型手口で口説いたこの男の弱点は、クレジットに300万円の借金があり、首が回らなかったこと。毎月末の返済期日に金を無心しても未成年者にはなんともできるわけがなく、半年で愛想を尽かされた。

捨てられた直後からこの男は、電話や携帯メール、待ち伏せや付け回しなどから、交際中に自分が支払ったホテル代や飲食代を返せなどの恐喝を始め、拉致・監禁やありもしない借金の借用書への署名捺印の強要、依頼主を水商売でアルバイトさせるなどした。最終的に自宅に乗り込んで借金返済を請求したところでトラブルの全容が両親に知れ、当社が関与することになった。


このケースは遠隔地からの依頼であり、電話と電子メール、ファックスなどから経過と証拠の有無を詳しく確認し、事前準備を全て済ませてから現場に乗り込んだ。地理的に加害者の自宅が依頼主宅よりも100キロほど近かかったため、依頼主との最終ミーティングの前に加害者宅周辺を検索したところ加害者の在宅を確認。急遽予定を変更し、そのまま加害者を呼び出し、近所のファミリーレストランで面会した。

直接面会でこの男は達者な話術で、いかに自分に非がないかを延々と喋り続けていた。問題点をすり替えるのがうまく、言い訳上手でソコソコの説得力がある。
しかし、未成年はたらしこめても当社は騙せない。この類の面会にはいくつかのキーワードを準備していくため、特定の言葉にどう反応するかで相手の心理状態を見破ることができる。そのほかにも何気ない仕草や唇の乾き具合などからも相手の言うことの真偽を判別できる。結局1時間足らずの面会でこの男は自分の非を認め、自発的に謝罪文を書き、涙を流しながら今後一切何もしないと誓約した。


男の書いた謝罪文は、依頼主へのご機嫌伺いであり、示談書でも和解書でもない。
しでかした不始末のについて個別に非を認め謝罪しているので、依頼主はこの謝罪文を根拠に民事から慰謝料や解決金、損害賠償を請求することもできる。これまでに関与した同類のトラブルでは、何よりも円満な解決と再発しないことを最優先に望む依頼主がこのような請求をしたことはないが、このケースではご両親の怒りが尋常でなく、今後どうなるかは未定。そのため、すぐに法的措置が執れる体制を維持している。
もちろん謝罪文に対して依頼主がどのように反応し、どう対応するつもりなのかについて加害者に連絡することはない。この男はこれから先の何年かをビクビクしながら過ごすことになる。


今回のトラブルは、これまでの最短記録のスピードで解決した。
対策費でサポートしている日数がタップリ余っているので、今後も積極的に依頼主をサポートいていく。この男には身の程をわきまえ、二度とふざけたマネをしないことを望む。




今現在、加害者が重度の「人格障害」と思われるストーカー事案に関与している。「ケース6」から紹介する。


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