企業対象暴力の動向と企業防衛

企業対象暴力から利益を貪る組織としては「暴力団」が有名です。
他にも、「総会屋」や「えせ行為者」、「右翼」や「極左過激派」などがあり、どの組織も威力や暴力を背景に企業・団体を揺さぶり、「しのぎ」を獲得します。

これらの連中を取り締まる立場の警察では、


暴力団や総会屋、えせ行為者など、「暴力のみを背景とした連中」の取り締まりは、暴力団対策室(課)
右翼や極左過激派など、「政治的思想も持ち合わせた連中」の監視は、公安2課(警備局警備課)

と、取り締まりの担当部署を区別し、完璧な縦割り方式で対応しています。

ここでは、暴力のみを背景にしのぎを獲得しようとする暴力団や総会屋、えせ行為者の最新動向と企業防衛の概要について、以前に警察庁の担当官から聞き及んだ内容を要約する形式で説明します。
右翼と極左については、別に検証しています。こちらから確認してください。

反社会的勢力の実態
暴力団
全国で約84000人(準構成員を含む)が活動しています。
山口組と住吉会、稲川会の大手3団体で、全体の70%を占めます。特に最近は暴力団対策法(以下暴対法)の影響で「しのぎ」が厳しくなり、寡占化に拍車がかかっています。同じ理由から企業や団体を装う連中も増え、組織の不透明化が進んでいます。


総会屋
全国で約400人が活動しています。
平成5年頃の一連の騒動(利益供与関連)後、商法が強化され、平成9年頃から関係遮断の徹底が進んでいます。対して総会屋はこの死活問題を克服するために、リースや広告、書籍販売などに活路を見出しているようですが、利益供与に該当する可能性が高く、企業側も罪を問われかねないため、注意が必要です。

現在、総会屋の数は下げ止まっており、暴力団の兼業化や構成員の転職などから、増加傾向にあります。

えせ行為者
全国で約7000人(車輌2000台程度)が活動しています。
連中は同和や右翼を名乗るなどして利権に群がります。押し売りタイプが多く、街宣活動や面会要求、質問状などの威力で業務を妨害し、体力を奪いながら企業団体から金銭を巻き上げます。

反社会的勢力の行動原理
資金源の多様化
暴対法の施行で表立った民事介入暴力が難しくなっているため、企業や団体を装い、匂いを消し、怪しまれないようにしています。
これら暴力団系の企業をフロント企業と呼びますが、一昔前のように「○○一家」などの看板を立てず、代紋入りの仰々しい名刺もひけらかさないため、見分けるのが困難です。あらゆる業種に浸透する彼らの罠にはまると細く長く生血を吸い取られることになります。

費用対効果
「掴まりたくない」「税金も払いたくない」を理由に、法律のあらゆる隙を突いて企業に喰らいつきます。
楽にしのげる標的を常に探し求める彼らが関連法令に詳しくなるのは当然です。特に弁護士も知らない(該当する業種でしか通用しない)行政関連法が隙だらけなのが問題で、民事介入暴力関連のトラブルが起こるたびに法改正するなどして締め付けを強化していますが、現状に追いついていないため、注意が必要です。


手口
ゆすり・たかり
企業側に落ち度がなくても、自分達ででっち上げ、巧みな話術で強請り、たかります。
書籍販売などに多く見られるこの類のトラブルでは、無理難題には応じないという断固とした姿勢が必要です。


乗っ取り
資金調達などの企業側の弱みに付け込みます。
「事件師」や「占有屋」など、その道の専門家が関与してきてからでは手遅れです。この類のトラブルは、契約の際に特約事項まで徹底して確認し、安易に署名捺印しないというのが最善の予防策です。万が一、署名捺印してしまったとしても契約の無効を申請する法的手段があります。弁護士や司法書士などの法律家に相談してみてください。


詐欺
狙いをつけた企業と何度か取引し、信用させてから後払いで納品させ、大量の品物と共に姿を消すという手口が一般的です。
詐欺師には組織力があります。連中は徹底して痕跡を消すため、事件後の追跡は困難です。
この類のトラブルを防ぐには、安易に商売のルールを曲げないことが重要で、取引先を徹底してチェックしていれば未然に防げます。

企業防衛の基本
予防
「つけいられるスキ」をなくすのが最善の予防策です。
安易に金銭で解決しないのはもちろん、どんな理由があっても暴力団や総会屋を利用せず、取引しないことが基本です。
また、取引先については実績や社歴などを徹底してチェックするなど、手順を省かず、抜かりなく取引するのが基本です。

早期発見と早期治療
悪いニュースほど早く伝える必要があります。
情報伝達のスピードを上げ、伝達範囲をコントロールできるように社内体制を整備する必要があるでしょう。トップダウンにしろダウンtoトップにしろ、知る必要のある範囲での情報伝達のスピードは、会社としての対応策を決定するのに重要な要件です。

一時的な問題解決の撤廃
安直な金銭での解決は問題外です。
暴力団などは手を変え品を変え、名前を変えながらトラブルを仕掛けてきます。「取れるところから取れるだけ取る」が、彼らの行動理念で、「金づる」などと思わせたら一環の終わりです。


組織的対応の徹底
担当者まかせは危険です。
相手はゆすり・たかりのプロで、担当者一人で対応するには荷が重すぎます。組織犯罪には組織で対抗するのが基本です。社長などの決定権のある役職者をトップに組織的に対応してください。

当事者の姿勢と
警察に相談しても警察VSヤクザになるわけではなく、当事者VSヤクザでありつづけることを自覚する必要があります。重要なのは当事者の意思統一と積極的な姿勢です。筋の通った方針を立てられれば効果的な対抗策を決められます。

外部の支援
直接的なトラブルの処理・回避するのに警察の支援は必須です。
また、自己満足的な対抗策は相手の思う壺です。プロに対抗するには自分もプロである必要があります。外部の専門家の客観的な意見を反映させ、柔軟性を持たせながら能力の維持向上を図るのが得策です。

経営と企業防衛
適応と柔軟性
経営を取り巻く環境の変化と同様に組織犯罪の動向にも臨機応変・柔軟に対応していく必要があります。完璧主義は隙を生みやすいことに注意してください。

不透明の撤廃
相手の言いなりなどの安直な問題解決は、後々被害を拡大させ、取り返しのつかない結果を生みます。
不透明な問題処理は信用問題に直結します。法律的な根拠のある、明確な方法で問題解決を図れば信用回復だけでなく、信用度をアップさせる効果もあると考えるべきでしょう。


重要なのは、トップの姿勢と会社全体の体制を確立することです。
暴力団は「弱み」につけ込みます。連中の言いなりになることは組織犯罪を助長させるだけです。金銭支払いによる安直な問題解決は断固拒否してください。積極的に問題解決を図る姿勢こそ社会的信用度を増す効果を生みます。



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